『孤島もの』にして『法廷ミステリ』 西村京太郎恐るべし。
一年前の殺人事件の犯行現場とその周辺が、交叉点や建物の室内まで完全再現された絶海の孤島。そこに誘拐拉致された、当時の裁判の七人の証人たち(と審判役の十津川警部)。そして猟銃を手に、『私設法廷』にて証言の再検証を迫る誘拐犯。彼らの運命はいかに。
荒唐無稽な設定ですが、なぜか説得力を持って読まされてしまう西村京太郎の筆力。ほんの小さな矛盾から少しずつ状況が覆っていく面白さは法廷ものの醍醐味。そして閉鎖空間での緊迫した状況で起こる現在進行形の事件。『殺しの双曲線』に続いてページを繰る手が止まりません。
『孤島』部分があっさり気味な感はありますが、それを言うのは贅沢かもしれません。充分楽しませてもらいました。
自分の中で予想外の『西村京太郎ブーム』到来です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ(国内)
- 感想投稿日 : 2012年6月5日
- 読了日 : 2012年6月5日
- 本棚登録日 : 2012年6月5日
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