かわいいふりして結構、本格。
短編が五編。
大きな仕掛けがある訳ではないですが、隅々まで行き届いた伏線と思わぬ展開に引き込まれました。
意外と血なまぐさい事件も多いのですが、仁木兄妹の軽妙なやり取りに、ほっとさせられます。そしてなにより、作者仁木悦子の人間に対するまなざしが優しい。登場人物たちはちょっとずるいところがあったり弱いところもあるけれど、それぞれみんなちゃんと生きています。
トリックのための物語ではなく、物語として面白く、尚かつミステリとしてきちんと成立している。そんな作品が僕は好きです。
『ただ一つの物語』が特に素晴らしく、巻末の解説で作者の人となりを知って読み返すと、また味わい深くなります。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ(国内)
- 感想投稿日 : 2012年2月4日
- 読了日 : 2012年2月4日
- 本棚登録日 : 2012年2月4日
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