香川照之にハズレなし!
Tシャツとジーンズが全く似合わない香川さんが可愛すぎて応援したくなる。
三十過ぎても、僕の「胸がキューンのマシーン」は壊れていなかった。
いま、日本で一番新作が待たれる映画監督(自分比)内田けんじ。
『運命じゃない人』『アフタースクール』に続く商業映画の長編最新作『鍵泥棒のメソッド』がやっと観られた。
もう内田作品に関しては、こんなレビュー読んでいる暇があったら、いますぐ回れ右をして劇場に走るなりレンタル屋に行ってDVDを借りるなりしてください。以上。
と、本当は言いたい。
一仕事終えた裏社会の「便利屋」香川照之が、ひとっ風呂浴びようと向かった銭湯で滑って記憶喪失に。
そこへ、たまたま居合わせた売れない役者・堺雅人が、出来心で脱衣所の「鍵泥棒」をして、二人が入れ替わってしまう。
さらに、婚活中の雑誌編集長の広末涼子が加わって、もっとややこしいことに。
この、広末涼子の笑わないコメディエンヌっぷりが素晴らしい。
最近、めきめきと女優としての実力と色気が増してきた彼女だが、「生真面目だけどちょっとずれた女性」を演じさせたら日本で暫定一位だと思う。
映画開始数分の彼女の「婚活宣言」で爆笑。一気に掴まれる。
裏社会の人間でありながら努力家の香川さんが、貧乏役者の境遇を背負っても、独自の「メソッド」で頭角を現していく姿が可笑しい。
反して、いくら金があってもダメな堺さんはダメダメなままである。
どんな状況でも地道に努力する人間には道が開けていき、逆もまたそうであるというのは、笑いの連続のなかにも考えるものがある。
とはいえ難しいことはいっさい必要のない極上のエンタテインメント。
あれよあれよと話は転がって、いったいこの物語はどこへ向かうのか。
内田けんじ監督作品は、ヒッチコックのサスペンスや、古き良きアメリカのウェルメイドなロマンティック・コメディの雰囲気がある。
また、そうでありながらも現代日本を舞台に自分流に調理され、まったく新しい味付けが施されてもいる。
構成の巧みさ、予想もしない伏線、そしてすべてが繋がって辿り着くスカッとするラストはいつものこと。
伊坂幸太郎の小説が好きな方なんかは『鍵泥棒のメソッド』そして彼の映画にハマるのではないだろうか。
とにかく、いますぐ回れ右してレンタル屋に走ってください。
- 感想投稿日 : 2013年5月25日
- 読了日 : 2013年5月25日
- 本棚登録日 : 2013年5月25日
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