伊藤計劃を読むと世界が変わる。これまでの作品の中でも、物語、言葉の圧倒的な質量だと思う。
ほぼ設計書だけのところからこれを本として世に誕生させてくれた円城塔の熱量にも、それだけで自分の世界が再起動されそうなくらいのもの。
19世紀に活躍したフィクション、ノンフィクションの人物たちがぞろぞろ登場し、近代ガイブン版『リーグオブレジェンド』さながらのエンターテイメントに、敏感で緻密に構築された世界観。両氏の魅力が、弁別不可能なかたちで混ざりあって、まさにたまらない。
どんなに言葉を尽くしても、この本が語る物語をこの本のかたち以外では伝えられない。日本SFの歴史に間違いなく残り続ける一冊だろうと思うけれど、これを同時代に体験できたことを心から幸運だと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2012年8月26日
- 読了日 : 2012年8月26日
- 本棚登録日 : 2012年8月1日
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