世界の先住民族は入植者に依って駆逐され、殺害された歴史がある。入植者達の技術や思想、全てが悪なのだろうか?
ユートピアとは何なのか?を、今では形骸化し、ヨーロッパの文化に晒されてしまったケニアのかつての部族民の生き残りを通して描いた大作。
舞台は近未来で、主人公である祈祷師自体も欧米での教育を受け、更に自身が生まれた時点でケニアは近代化していたため、時代錯誤も甚だしい話ではあるが、かつての欧米文化入植前の世界=ユートピアを追い求めるが、段々と老害化してしまっているのが悲しい。
トータル500ページ近くの容量だが、複数の短〜中編で成り立つ「火星年代記」を彷彿とする構成に加え、会話中心の物語でかなり読みやすい。
「ある社会がユートピアでいられるのはほんの一瞬なのだ。一旦完璧な状態になった後は、どんな変化があってもそれはユートピアではなくなってしまうのだが、社会というのはそもそも成長して進歩するものなのだ」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年1月26日
- 読了日 : 2017年1月26日
- 本棚登録日 : 2017年1月26日
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