性別すら公表していない覆面作家、坂木司。いったい男女どちらなのでしょう。時にいい子すぎて偽善臭を感じてしまうほどのキャラクター。そんなキャラクターたちを主人公にした著作は、1冊で終わるのを著者自身も読者ももったいなく思うのか、2冊3冊となることがままあるようで。延々続けるわけではなくその程度で終わらせておくのも著者のいいところかと思います。
『和菓子のアン』が気に入った人ならば間違いなく手にとってしまうであろう第2弾。前作同様、主人公のアンこと梅本杏子がバイトする和菓子店が舞台。デパ地下に入るその店を訪れた客がつぶやく意味深な言葉や、菓子そのものに込められたメッセージなどを解くミステリー。しかし前作ほどミステリーとしての面白さはなく、あくまで前作を読んだ人限定で楽しめるもの。
唐突に話を震災に絡められる展開は、個人的には冷めます。そこに偽善を感じるから。だけど、偽善であっても何もしないよりはいいと思う自分もいて、毎度そういう話に出会ったときは葛藤があります。
という話は置いておくとして、和菓子にまつわる豆知識や、言葉に隠された意味を知るのは楽しい。こんな本を読むと、日本人でよかったと思うのでした。甘酒が飲みたくなります。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
既読(2016年)
- 感想投稿日 : 2017年4月27日
- 読了日 : 2017年4月27日
- 本棚登録日 : 2017年5月10日
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