ほのぼのした作品かと思いきや、最後に突き落とされることがよくある瀬尾まいこ。生と死についても考えさせられることが多いです。
これは映画を先に観ました。映画化に当たった市井昌秀監督は、ちょっと前まではまだまだマイナーな監督でした。自らの奥様の出産シーンを使用した『無防備』(2007)、超ローカルな劇場でしか上映されていなかった『あの女はやめとけ』(2012)、ちょっとメジャーになって、星野源がとてもよかった『箱入り息子の恋』(2013)と、どれもとても好きでした。それに比べるとこれはキャストからして堂々のメジャー級。しかしありきたりな映画になっているのが残念。映画のキャストも併記します。
物語の主人公・葉山亮太(中島裕翔)は、病気で兄を亡くして以来、ひとり黄昏れてばかり。人が死ぬ小説ばかり読んでいる。そんな彼の心に土足で踏み込んできたのが同級生の上村小春(新木優子)。実は中学生の頃から亮太のことが好きだったという小春とつきあうように。出会いと別れ、そして結婚。問題を抱えつつもふたりで寄り添いながら生きてゆくさまが描かれます。
おそらく先に映画を観てしまったせいだと思うのですが、最後の展開が映画と違いすぎて戸惑いました。映画版は、小春に突然別れを切り出されたあと、なぜそんなことになったのかを亮太が知るまでにしばらくかかり、小春を取り戻そうと亮太が奮闘するところが泣きの山場。それを乗り越えて結婚に至り、一緒にごはん、という流れでした。ところが原作のほうは結婚してから問題発覚。ケンタッキーのサンダースおじさんのくだりが映画オリジナルだったのだとわかると、市井監督がお涙頂戴路線に走っているとしか思えず、監督の今後の作品に不安が募り、原作の良さについて考えられなくなりました。(^^;
映画では、小春が亮太に無理やり貸す本30冊の大半が幻冬舎文庫ばかりで笑いましたが、原作を読んで、30冊は内田康夫の浅見光彦シリーズだったと知りました。いや、浅見光彦シリーズは幻冬舎文庫ではないから、映画のあの袋の中はそのシリーズはあまり含まれていなかったはず!と思ったのでした。
なんだか本のレビューというよりは、映画のレビューになっちまいました。すみません。
映画の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/db6119ebdb0be81a959316ba0d0e4f6b
- 感想投稿日 : 2017年4月28日
- 読了日 : 2017年4月28日
- 本棚登録日 : 2017年5月15日
みんなの感想をみる