遊女の江戸: 苦界から結婚へ (中公新書 1123)

著者 :
  • 中央公論新社 (1993年3月1日発売)
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【感想】
著者が雑俳の解釈について傍証を探している中で、遊女の結婚に関するメモも残しており、それを編集した本。

遊女が現役を退く理由(p.28)、遊女の格付け(p.93)などにも言及があるが、どちらかというと江戸の遊女にまつわる抽象的、体系的な知識ではなく、具体的なエピソードが列挙されている。
基本知識がなくとも読めるが、実は応用的内容であるところが本書の良いところ。

遊女に惚れ込んで身を持ち崩す男の例証には枚挙に暇ない一方で、運よく身請けされて世間並みの幸を得る遊女は然程多くなかったようである。

世間に恥を晒さぬよう風流な廓通いをするための条件が心学の引用から述べられており、面白い。
現代では役に立たないとも思われる処世術だが、しかし遊ぶ男女の情というものは今も昔も大して変わらないだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 民俗・風俗・習俗・祭礼・奇祭・賤民・芸能民
感想投稿日 : 2014年8月15日
読了日 : 2014年8月15日
本棚登録日 : 2014年8月2日

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