ゆれる [DVD]

監督 : 西川美和 
出演 : オダギリジョー  香川照之  伊武雅刀  新井浩文  真木よう子  木村祐一  ピエール瀧  田山涼成 
  • バンダイビジュアル
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故郷を離れ、東京で写真家として活躍する弟・猛。母親の法事で久々に帰省し、兄・稔が切り盛りする実家のガソリンスタンドで働く昔の恋人・智恵子と再会する。猛と智恵子とは一夜を過ごし、翌日、兄弟と彼女の3人で渓谷へ遊びに行く。猛が智恵子を避けるように写真を撮っているとき、智恵子が渓流にかかる吊り橋から落下する。その時、近くにいたのは稔だけだった。事故だったのか、事件なのか、裁判が進むにつれて兄をかばう猛の心はゆれ、最後には証言台に立ってある行為を選択する

『その時東京駅五時二十五分発』を読み、西川さんの監督、脚本で高評価を得ている『ゆれる』を観る。ラスト、『その時~』はスコンと抜けた様な明るさがあったのに、こちらは感じられず重たく終わった。若い頃は好きな作品に挙げただろうが、落ち着いた年齢を迎えた今は避けたいテーマ。
生まれつき持っている者と持てなかった者に立ちはだかる壁。誰もが感じながら生きている。それが血を分けた兄弟や姉妹となるとなおさらのこと。
兄を賀川照之さん、弟をオダギリジョーさんが演じそれぞれ受賞していて巧い。人間のどろどろとした感情やエゴが渦巻く演技は素晴らしいが、殺人罪がかかる設定で果たしてアリなのか・・・。
不可解なのは「昔の誠実な兄を取り戻すために敢えて真実を述べる」と言い「兄が智恵子を突き落とした 」と証言したこと。その前の面会で、兄が「お前は殺人犯の弟になりたくないから、俺の無実を信じているだけだろう」に対してだったのか。映画を観ている私も『真実は藪の中』の面持ちでありながらも、やはり兄はやっている側に傾いていた。慕っていた智恵子を猛に寝取られたばかりか、救おうとした際「触らないで!」と拒否されたらたまらない・・・。
しかし、真実は違った。たぶん猛も兄が突き落としたと思い込んだのだろうが。

兄が7年の刑期を終え出所したラストシーンで、猛が謝り「兄さん、一緒に住もう」と呼び掛ける。2人の間をバスが遮る。果たして兄はバスに乗り込んだのかどうかは、観客や読者に委ねられる手法。(結論をはっきりさせないのは好きではない。ラストを提示しないと作者の考えが伝わらない)私には、弟と住まずに違う町で暮らそうと兄はバスに乗り込んだのだろうとしか思えない。

検察官役の木村祐一さんは納得いかなかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: DVD
感想投稿日 : 2018年6月9日
読了日 : 2018年6月9日
本棚登録日 : 2018年6月9日

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