突然ですが、雪だるまはどうやってつくるか知っていますか?
あれは、頭と胴体を別々に小さな雪玉から徐々に大きくしていって、
大きいほうに小さいほうをのっけるのは容易に想像できるでしょう。
この話は、最初そんな雪玉を作るという、ふとした思い付きからスタートします。
ただその雪玉の素材は不幸と責任転嫁。徐々に大きくなり、最後はコントロールできないくらいまで大きくなるこの黒い雪玉と、隣で少し小さな雪玉を別の人が作っていたことに気づく。そして黒い雪だるまは形作られます。
そして魂のこもっていない抜け殻なのです。
あの子供のときに作った雪だるまの目や鼻が実は墨じゃなく虚空だったらと思うだけでぞっとします。この本を読んでも読書後は全く何も無い虚無だけが残されることでしょう。
みな雪だるまは最後は水になると知っています。でも溶けていく雪だるまは実は醜いものなのです。人生の崩れ方、壊れ方を緻密な構成と独白という独特の表現で書き上げた筆者に感嘆。ただ、繰り返しになるが最後の虚無感だけはいかんともしがたく★4つ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年6月15日
- 読了日 : 2012年6月15日
- 本棚登録日 : 2012年6月2日
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