仙台ぐらし

著者 :
  • 荒蝦夷 (2012年2月18日発売)
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本棚登録 : 1741
感想 : 295
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ブログが一時すごく流行った時、実は自分の人生には大きな事件が少ないということに気づいた人は多いのではないだろうか。
規則正しい生活を送る伊坂さんにももちろん、大きな事件は起こらない。たまに話しかけられたり、猫がやってきたり、映画化されたり、心配しすぎたり…。多すぎるということは、自分が考えていた日常よりも多く感じることだ。(もちろん途中で多すぎる、しばりに筆者自分が辟易したけど)

それでも震災という大きな事件が起こってしまった。被害は少ないもののその場にいた人間として、日常が遠くなり、アイデンティティを見失い、電気にも困る生活にどのように慣れていくのか、そしてまた同じように楽しい小説を書くことができるのか。そんな思いが、ぽつりぽつりと原稿になっていく。
そして最後…、そんな思いを集大成した短編小説で幕を閉じる。職業作家じゃない、人生作家であることを示した仙台を中心とした伊坂的徒然草。読みやすく、そして考えさせらた。まだ11日の募金は僕もつついでいる。今月で3年6ヶ月。これはもう僕の生活の一部だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2014年9月16日
読了日 : 2014年9月16日
本棚登録日 : 2014年9月14日

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