最晩年の短編集。幻覚を見、狂気の中に書かれたと思われる「歯車」では、発狂寸前の内面の描写と、ギリギリのところで社会と接している「彼」の描写とが、明確な境界を持たずに迫ってくる。まるで、自分の狂気を原稿に絞り出す様子のパラレルを思わせる。そして、ギリギリで保たれていた正気が力尽きていく最後は、理由は分からないが引き込まれるものがある。
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- 感想投稿日 : 2024年1月30日
- 読了日 : 2024年1月30日
- 本棚登録日 : 2021年11月22日
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