ロリータ (新潮文庫)

  • 新潮社 (1980年4月25日発売)
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本棚登録 : 511
感想 : 61
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ロ、リー、タ。舌の先が口蓋を三歩すすんで、三歩目に軽く歯にあたる。ロ。リー。タ。(『ロリータ』より)早熟な十代前半の少女に魅せられた中年男ハンバートの悲劇の物語は、裁判中の彼の独白と手記という形式で語られる。いかなるモラルも引きずらないとナボコフ自らが宣言したこの作品は出版と同時に一大センセーションを巻き起こしたが、彼の小説にたいする理念、すなわち小説は美的な快楽を伴う次元においてのみ存在意義があるという概念を反映したものであることは確かだ。映画は断然キューブリックよりエイドリアン・ライン派です。ハンバート役を演じたジェレミー・アイアンズが素晴らしかった。インテリで、いい歳で、それなのに奔放な小娘に弄ばれる情けない男の役が彼ほどはまりそうな役者はいません。ロリータを見つめる視線の切ないこと。ロリコンの語源としてひどい認識も強いけれど、文学としては純愛を書いた美しい作品なのです

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 退廃恋愛
感想投稿日 : 2007年5月13日
本棚登録日 : 2007年5月13日

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