読書について (光文社古典新訳文庫 Bシ 1-1)

  • 光文社 (2013年5月14日発売)
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感想 : 159
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「本を買うとき、それを読む時間も一緒に買えたら、すばらしいことだろう。」
「読んだものをすべて覚えておきたがるのは、食べたものをみな身体にとどめておきたがるようなものだ。」

本が沢山あろうとなかろうと、自分の時間は変わらない。そして、読んだ本を消化して自分の中に落とし込むのもまた時間が必要である。読んだ本を忘れない、という人がすごいと思ってた。でも、大事なのは内容を覚えてるだけじゃなくて自分の中に取り入れること。自分の、思索体系に。

読めなくて苦労する本があっても、それは自分に間違いじゃないことがわかった。
前読んだ岡本太郎の本に「知識は積み上げるな、むしろ蹴飛ばしてしまえ」と書いてあったのはこういうことか、と思った。岡本太郎もショーペンハウアーに読みふけっていたそうだ。なんとなく、つながった。

『著述と文体について』ではドイツ語の乱れと金儲けのために物書きをする風潮を激しく批判しいる。ショーペンハウアーは言葉を非常に大切にしているのだと感じた。それゆえに考えなしに言葉を使うこと、もとより乱れた言葉を使うほど何も考えてないことを鋭く批判している。

自分の頭で考えろ。

哲学の先人に、言葉で殴られた気分になるほど目が覚める本だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年7月19日
読了日 : 2022年7月19日
本棚登録日 : 2022年7月19日

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