アフガンやイランの空爆、独立運動などについて、世界中で起こっている戦争について、消化できない思いを絵や言葉にした一冊。
気持ちは伝わってきます。
ただ、文章としては観念すぎる気がしました。
自分の感情を、言葉に変換した段階のままで、それを万人の読者に受け取りやすい形で伝える、という段階ではないように思います。
エスペラント語を習い始めているという著者。
言葉の多様性の持つ隙間に気付き、なんとかそれを埋められないかと、世界共通語を学び始めたという彼女の動機には納得できます。
なぜ世界の言葉が共通しないのか、という疑問は、一度は抱くべきものでしょう。
ただ、多言語であるメリットも世の中には数多く存在します。
長所については記されておらず、言葉が通じない悲しみだけをつづっているのは、バランスに欠けるように感じます。
10代までなら、戦争について身近に感じられ、わかりやすく読めるのかもしれませんが、それ以上の年代が読むと、多分に主観的で具体性に欠け、詩ともエッセイともつかない、涙を含んだ不確定な文章のように感じられるようにも思います。
この本は、大地震前に読みましたが、今となっては、日本人が打ちひしがれているのは、遠い国の戦争ではなく、目の前の自然災害。
こういった類の本は、読む側の状況によって受け取られ方が変わるため、今となっては著者の思いとは違う方へととらえ方が変わりそうな気もします。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ・対談
- 感想投稿日 : 2011年3月29日
- 読了日 : 2011年3月29日
- 本棚登録日 : 2011年3月29日
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