つらい時は「やってらんな〜い」って叫べばいいのよ

著者 :
  • 宝島社 (2010年8月9日発売)
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本棚登録 : 293
感想 : 60

先日読んだ『ちょっと過激な88の幸せ説法』が面白かったため、同じ著書によるこちらの本も手にとってみました。
とても僧侶の書いた本とは思えないタイトル。
それでも勇気づけてもらえる感じがします。

読み始めて早々に「頼りになるオネエさんとのガールズトークという感覚で読んでいただけたら幸いです」という一文がありました。
でもこの方は、厳しい修行を重ねた阿闍梨で住職。
人間の幅の広さ、と言えるものでしょうか。

オネエであることを隠さない著者は、修行僧の目と女性の目をあわせもっているため、さまざまな人間関係などを鋭く斬っていきます。
「家の中がきれいな男性」がいいと言われても、それだけではピンときませんが、説明されるとなるほどと思います。
「料理上手の女性」がいいというのは、よく聞くことですが、それに続く著者の言葉は「相手が気に入らなければ、少しずつ塩分を増やしていくだけで、誰にも知らせず命を縮めることさえできちゃう」から。
それはもちろん冗談でしょうけれど、こうした考えの柔軟さが文章のはしばしに現れています。
ちなみにこの方、「料理でいいオトコを射止めた」そうです。さすが・・・

人間関係の他に、仕事に関する不満を聞くことも多いという著者。
お給料は、「仕事をした対価」ではないのだそうです。
ではなにかというと、「ガマン料」。
仕事は楽しくないのが基本なので、おもしろくなくて当たり前とのこと。
力づけられます。

お寺には祈願寺と祈祷寺があると知りました。
祈願寺は真言を唱えて本尊に願い乞うお寺で、祈祷寺は僧侶に祈祷を依頼して願いを叶えるお寺という違いがあるそうです。
また、観音さまへの信仰の言葉が随所に見えます。
「24時間年中無休でいつでもどこにいても願いを聞いてくださる」と聞くと、そのコンビニエンスさから身近な存在に思えてきます。

最近の悩める人々の自分探しや自分磨きに、あまり重要性を見ない著者。
「役に立たない自分磨きよりトイレ磨きよ!」
仰るとおり。最後まで小気味良く、そして納得できる言葉が途切れない、テンポのいいエッセイでした。

読後、この方は今では僧侶というよりもタレント色の強い人だとわかりました。
そうだとしても、この本はとても読みやすく、自分の中でクリアになるところが多々ありました。

『ちょっと過激な88の幸せ説法』→http://booklog.jp/item/1/4479771794

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宗教全般
感想投稿日 : 2014年3月12日
読了日 : 2014年3月12日
本棚登録日 : 2014年3月12日

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