この物語は、ある貧乏な―しかし物語を紡ぐという才能を持った― 一人の黒人少年と、一冊の本を出版しただけで隠遁している小説家が出逢うことから始まる。少年が文章を書き、小説家がそれを読んで、口を出す。最初は決して、信頼や尊敬ばかりがあった訳ではなかった。けれど小説家として、あるいはただの黒人少年として以上のことをお互い知った時、ただの他人どうしではない師弟関係でもない、人間対人間のつきあいが始まってゆく。
喧嘩したり、からかったり、反発したりしながら、小説家の部屋で文章修行をする部分も楽しめますが、断然、面白くなってくるのは物語の後半部分。他人と他人。師と弟子。白人と黒人。老人と少年。そんな垣根や境を飛び越えて、人間と人間として付き合うようになる彼等の姿がとても喜ばしく微笑ましく感じます。
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- 感想投稿日 : 2008年7月26日
- 本棚登録日 : 2008年7月26日
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