世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)

  • 中央公論新社 (2008年1月25日発売)
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革新を模倣する形で取り入れ、その内容をその地域などが持つ伝統と融合することで、その地域固有の文明に昇華されていく。

これに対し、うまく融合させられた文明は生き残り、そうでない場合は崩壊していくことを繰り返し歴史が紡がれてきているという理解。融合した結果、表面的にしか移植しないケースも発生(日本における民主主義など)。社会や経済を変えることができる、実績として変えた経験を持つ西欧諸国と、変えた結果の制度などを輸入した日本では、根っこの部分が違うことはわかり切った話だが、日本がこれからその激動を経ることは、またいつものように急激な変化として外圧的に何かが発生した時だけだろうな、とも感じる。

また、近年の動きとしては地方部から都市部への人口の移動が大きなトピック。過去には見られなかった動きであり、更にそのうえで、都市部での出生率や役割の変化なども起きている。これが何を意味していたのか、予測の域は当然ながら出ることはなく、後世になって初めて意味が分かるだろう。

このスケールで物事を考えるクセを持っておくと、小さいことは気にしなくなるかもしれない、という精神的な処方箋にもなる気がした(宇宙が同じ事例)。一方で、その小さな積み重ねが大きな流れになることも、合わせて感じ取ることができた。文章で「取り入れた・学んだ」などとあるが、そのミクロの世界は凄絶な面も多々あったと思う。ましてや何かの外圧にさらされ、失敗したら文明が滅んでしまうという状況であればなおさら。とにかく、この後に歴史の諸事情を勉強すれば、入りやすいのは間違いない

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2022年7月18日
読了日 : 2022年7月18日
本棚登録日 : 2022年7月16日

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