この本の価値は、アクティブ・ラーニングを、特殊な学習の一形態として紹介するのではなく、人間にとってごく自然な学びのあり方に過ぎないものとして紹介している点にある。
著者の指摘するように、それはすでに(必ずしもそう意識されていないにしても)至る所で行われている学習であって、アクティブ・ラーニングでないラーニングを想定することの方がかえって難しいくらいなのである。
アクティブ・ラーニングというと、子どもの個性や自由を尊重するものであるが故に「すばらしい」ものなのだと解釈されがちだが、本当にそうなのだろうか、と思う。アクティブ・ラーニングとは、そんなに積極的な意味で「良い」ものだろうか。
むしろ、日本の学校で行われている学習が、人間の本性とはかけ離れた、あまりにも不自然な形態を取っていることが問題なのであり、アクティブ・ラーニングとはそれを正常に戻すものでしかないのではないかと思う。
その意味では、アクティブ・ラーニングという言葉を、それほど深刻に捉える必要はないのではないだろうか。
ともあれ、本来であれば「当たり前」であるはずの話を、当たり前に語ることはなかなか困難な時代であるだけに、こうした健全な感覚に裏打ちされた実践報告はとても貴重なものであると思う。
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- 感想投稿日 : 2016年1月29日
- 読了日 : 2016年1月29日
- 本棚登録日 : 2016年1月29日
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