ユニークなキャラクターによる新解釈の「三国志」。でもそれだけじゃ、この本の魅力の半分しか説明できない。
三国志をちょっと「普通」の目で見直してみると、いろいろ間尺に合わないことがいっぱいある。それを無理矢理、筋の通る物として考えると……なんと、こうなっちゃいました、という具合にキャラクターが作られているのがミソなんである。たんに荒唐無稽のキャラクターをポンとひりだしたわけではなく、「書いてあることを素直に読むと、こういう人だったとしか思えない」という仕掛けを上手につくっているのがユニーク。読む人によっては、三国志はこんなに別の面が出てくるのか……著者の意地悪な観察眼に脱帽である。
諸葛孔明だけに限らず、劉備・関羽・張飛も負けず劣らずの奇人・変人。それでいてものすごく生き生きとしたキャラクター描写。まさに「酒見節」とでもいいたくなる、軽快でうんちくある地の文で。爆笑しつつページをめくり、残りのページが少なくなるのがほんとに惜しくなる。著者の第一作『後宮小説』もおもしろかったが、この本はその直系子孫というかんじ。ぜひぜひこの路線でもっと読ませて欲しい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年3月30日
- 読了日 : 2005年3月30日
- 本棚登録日 : 2013年5月19日
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