非加熱製剤によって多くの人がエイズを発症した、いわゆる薬害エイズ訴訟において殺人罪で起訴された安部英被告の弁護士が、裁判の真相を語る。
非加熱製剤は血友病患者の生命とQOLを劇的に引き上げたこと。当時、国際的に非加熱製剤の危険性についてはっきりとした知見はなく、その段階で非加熱製剤を禁止することはとうていできなかったということ。安部医師の起訴は不当であり、いわばスケープゴートをつくるための国策捜査であったことなどが、わかりやすく説明されています。
安部医師を殺人者に仕立てることで、誰が得をしたのか。そこを慎重に見極めなければならないと感じる。彼を殺人者とののしり、名をあげた小林よしのりや櫻井よしこ? ただ「片付けてあった」だけのファイルを「隠蔽されていたものを発見した」と騒ぎ立ててヒーローとなった菅直人? その先棒をかついだNHK? もちろん、悪玉と善玉によるわかりやすい筋立てで満足し、安心したがった私たちにも、返す刀が返ってくるだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
人文
- 感想投稿日 : 2011年4月17日
- 読了日 : 2011年8月21日
- 本棚登録日 : 2011年4月8日
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