11冊目『海と毒薬』(遠藤周作 著、1960年7月、2003年4月 改版、新潮社)
太平洋戦争中に起きた戦争犯罪「九州大学生体解剖事件」を題材にした名著。
戦争に歪められる医師の姿が描かれるが、本作が追及しているのは現代にも通じる人間の本質。出世欲や絶望、孤独、嫉妬、傲慢、恋慕、そのような欲望や感情が罪の意識を鈍らせることを示し、責任を転嫁することで罰から逃れんとすることの浅ましさを我々に突き付ける。
本作が描く悪に、無関係ではいられない。
〈夢の中で彼は黒い海に破片のように押し流される自分の姿を見た〉
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ヒューマンドラマ
- 感想投稿日 : 2024年1月23日
- 読了日 : 2024年1月23日
- 本棚登録日 : 2024年1月11日
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