益田ミリさんの書くものはなんだかじぶんに合わないかんじで、積極的に読みたくなる作家さんじゃなかったけど。
図書館でたまたまこれが並んでる棚で本探ししてて、タイトルに惹かれておもわず手にとってた。
それで中をペラ読みして、そのまま借りた。
ちょうどわたし、おんなじ悩みに苦しんでたときだったから。
「どうしても嫌いな人」
主人公は職場に「どうしても嫌いな人」ができちゃって、じぶんの中に湧くモヤモヤに悩むお話。
わー、って声あげちゃうぐらい、わたしの悩みと似てた。
人を猛烈に嫌うほど他人に強い関心ももてない感覚が働かなくて、いろいろわたしもじぶんに湧いてくる濁った霧みたいなのがなんなのかずっと答えを探してて、でもあるとき諦めて認めるしかなかった瞬間。
「わたし、あの人がきらい」
そんな瞬間を経験した。
それでさらにまた悩んだ。
「きらい」が結論でいいのって?
だから?
だったら。
わたしは、どうしたいの?
って。
人は変えれない。
だから、わたしが変わろう。
って、努力もした。
いろんな心理学の本も読んだ。
アドラーも読んだ。
でも、相手は変わらなくて、わたしの意識をいろいろ変えても状況はわたしに苦しいものになるばかりで。
あー!
あんな人!
だーいっきらいっっ!
って、だれもいないところで、一度、おもいっきり叫んだ。
あの人が、わたし、きらい。
って認めるしかなかった二度目。
それで、わたしが選んだ選択は、じぶんの評判なんてどうでもいいから、その人から逃げることだった。
かんぜんな無縁になる。
そう決めた瞬間、そうしてなにがわるいんだーっ!、ってまた叫びたくなって、いいよいいよ逃げちゃいなよ、ってじぶんをじぶんで慰めて励まして。
それで、逃げた。
この本のレビューで、たたかって欲しかった、みたいな感想も見たけど。
この本の主人公も「脱走」を選んでる。
わたしはじぶんの選択のあとでこれを読んだから、なんか泣きたくなった。
[引用]
嫌いな人のいいところを探したり
嫌いな人を好きになろうとがんばったり
それができないと
自分が悪いみたいに思えて
また苦しくなる
逃げ場がないなら
その部屋にいてはダメなんだ
このさい
脱走しかあるまい
[/引用]
わたしが悩みつづけてきたのとおなじ経緯が描かれてた。
主人公は、そういう選択をしたじぶんはただしいんだ、と納得させて、つぎに進みだすの。
わたしも、おなじ。
[引用]
「立つ鳥跡を濁さず」って言うけど
あたしゃ
鳥じゃないし~
[/引用]
うん。
わたしも、鳥じゃないから、きれいに逃げれない。
でも、いいや。
それでいいや。
って、こころが晴れやかになった本だった。
いいタイミングで、わたしはこの本を読んだ。
この本を描いた益田ミリさんに、ありがとう、って言いたい。
本との出会いは、人生にはだいじで、ときには宝物。
この本とはそんな出会いだったの、あのときあの本棚で。
- 感想投稿日 : 2019年7月30日
- 読了日 : 2019年7月30日
- 本棚登録日 : 2019年7月30日
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