カソウスキの行方

著者 :
  • 講談社 (2008年2月2日発売)
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本棚登録 : 566
感想 : 117
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働く女性とその恋愛、の短編集。
津村記久子さんと言えばお仕事小説というイメージなのだけど、この小説も主な舞台は職場で、働く若い女性たちのリアルな恋愛と生活が描かれているから、すごく身近に感じた。

表題作の主人公・イリエは本社でけっこう良い位置で働いていたが、後輩を庇ったのが仇となって僻地の倉庫に飛ばされた。そこには年下の上司・藤村と、地味で大人しい森川がいた。
本社勤めの頃とは違いやりがいのない日々の中でイリエは、自分は森川が好きなのだと仮定して過ごしてみることにする。

つまらない日々に張り合いを出す方法、ちょっと強引ではあるけれど何か分かると思った。特筆すべき変化がないから、そこに無理やりでも変化を加えてみる。意識すれば、現実も少し変わったりする。
ただの同僚。に、ほんの少し歩み寄ってみることで、思いがけない話が聞けたり、自分も語ることになったり。
そして少しずつ関係が変化していく。
最後のメールのやり取りがよかったな。何とも言えず好き。

仕事も恋愛も順風満帆とはいかない中で、不調に陥ったり感情的になる時もあって、でも何となく近くにいてくれる人がいて、またちょっと元気になったりする。
実際の日常もそんなものだ、と思えるからすごく近しい。
綺麗すぎるわけじゃない、でも嫌な感じがないまとまり方がよかった。
今の自分の感じにすごく合ってた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年7月5日
読了日 : 2016年7月5日
本棚登録日 : 2016年7月5日

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