関ケ原合戦: 戦国のいちばん長い日 (中公新書 642)

著者 :
  • 中央公論新社 (1982年2月23日発売)
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感想 : 6
4

1600年9月15日、中世から近世へ、豊臣から
徳川へ、天下分け目の戦いが行われた。日本列島の
すべてを巻き込んだ、この戦国のいちばん長い日は、
一体どんな一日だったのか。
戦国乱世の時代像を24時間に凝縮する迫真の歴史
ドキュメント。(初版は1982年の刊)

本書は関ヶ原に関する著作の参考文献にあげられる
古典的な本である。関ヶ原については、多くの論者
が扱っており、研究の進展がみられる。笠谷和比古
(1994年)や光成準治(2009年)などによ
って、新しい視点が開かれており現在からみると本
書の内容は古びているが入門書として最適である。
9月14日に西軍が大垣城を出発し関ヶ原に向かう
ところから始まる。翌15日午前8時に開戦、午後
2時に西軍が敗走、家康は午後5時に諸将に謁見、
その後の戦後処理までを扱っている。

以下、備忘録的に
14日の正午。島左近、当初、家康の到着を信じな
かったという話を紹介している。名将として讃えら
れるがどうなのか。開戦時には速攻で銃撃(本書の
流れだと8時に開戦し9時に重傷をおっている)さ
れるし精彩を欠く。軍記物により造られたイメージ
が大きいという事かしら。
メッケルの逸話。本書にも出てくる。司馬遼太郎の
創作という話を聞いた時は、のけ反るほどに驚いた
が、海音寺潮五郎の方が早いらしい。海音寺はドイ
ツ軍人としているとの事から、まったくの創作では
無く、何らかの元ネタがあると推測している人もい
るが、司馬は何とも罪深い。
上杉景勝。景勝ファンとしては残念なことだが、著
者の評価は高くない。秀吉死後、旧領越後の回復を
狙い家康に見咎められ、打倒家康の意地も度胸も無
いとボロクソである。
毛利輝元。苦労知らずの三代目の甘さが出ていると
している。本書に限らず苦労知らずの甘ちゃんとい
う見方をされる事が多いが、実質2代目として戦国
の世を生き抜いており苦労知らずとは言えまい。
(軽んじられるのは他の要因か。)
小早川の裏切りにより、簡単に壊滅したような気が
したが大谷、平塚、戸田連合の勇戦ぶりがわかって
良かった。
論功行賞。蒲生秀行の18万石が60万石は破格。
加藤、福島、黒田、最上でも2~3倍なのになぜな
のか不思議。
巻末の関係略年表、大名配置一覧は重宝。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史(戦国)
感想投稿日 : 2013年6月1日
読了日 : 2013年6月1日
本棚登録日 : 2013年5月24日

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