天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書 2295)

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  • 中央公論新社 (2014年11月21日発売)
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とにかく、面白い。そして、とってもタメになる気がする。

軸になっているのは、歴史学者である著者から読者に向けた、歴史に学び、守れる命を守ろう、という呼びかけ。「人間は現代を生きるために過去を見る。・・・すべての歴史は現代史の一部である。」
武将から寺社の記録係、果ては忍者から市井の人々まで、さまざまな立場の人が書き記した古文書から、各地の災害に関する記述を読み解き、体験談として生き生きと蘇らせています。

驚くのは、計量技術が今ほど精密ではなかった時代に、桶の水のこぼれ方や井戸水の変化や、線香の燃え具合などから、災害が起きた時間や状況がかなりしっかりと表現されていること。さらには、言い伝えや、立地や、地名の名付けなどで後世になんとかして教訓を伝えようとしてきた人びとがいたことも、よく分かります。

地震、津波、噴火、山崩れ、台風に高潮。日本の各地がどれほど災害に見舞われてきたかを示されて、改めて慄然としつつ、先人たちが残した多くの生き延びるためのヒントを、もっともっと大切にしなければならないのだと実感しました。

備えは万全に。でも災害は時に想定を超えることも知っておく。自分の身を守るのは自分。非常時こそ、互いの思いやりと優しさを。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年11月4日
読了日 : 2018年11月4日
本棚登録日 : 2018年11月4日

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