今回は、完全にジャケ買い。原田マハさんなので大丈夫だろうと、あらすじも何も見ずに購入。
先日、「東山魁夷展」に行き、蒼や碧色の心に沁みる絵を沢山見る機会がありました。そこにも出展されていた絵がカバー絵になっており、ついつい惹かれてのジャケ買いでした。
中高生時代のいじめをきっかけに引きこもっていた主人公が、一緒に暮らしていた母親が家出して一人になったことから、やむなく家を出て茅野にある祖母の家を訪ね、そこで祖母の介護に向き合う中で手間のかかる米作りに挑戦しながら、心を開き、自分の足で歩き始める物語。
ジャケ買いした東山魁夷の絵は、そのモデルとなった茅野の御射鹿池が
主人公たちにとって大切な場面である、ということで登場。
引きこもり、認知症介護、農家の後継者不足、人のつながり、親子の情愛・・・などがいい具合のスパイスになっていて、興味深く読み進めました。都会に居るとついつい忘れてしまいがちな、いろいろ不便であっても、不便を楽しみながら丁寧に生きる、ということの大切さが軸になっているようにも思います。
ストーリーが少々出来すぎの感は否めないけれど、世の中に大勢いる、引きこもりたくないのに引きこもってしまっている若者たちにも、この主人公のような人との出会いや気づきがあればいいだろうなぁ、人の温もりを味わう瞬間に出会えたらいいだろうなぁ、と思いました。
…という内容とは別に、美味しいもの好きの私には、この本を読んでいる最中に、おいしい梅干おにぎりが
食べたくて仕方なくなって困りました。夜中に読んでいるのに・・・。
原田マハさんの小説は、「(海外の)美術館に行きたくなる」「旅に出たくなる」そして、今回は「おにぎりが食べたくなる」。五感を大いに刺激されることが多いです。
- 感想投稿日 : 2018年9月27日
- 読了日 : 2018年9月27日
- 本棚登録日 : 2018年9月27日
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