こんどこそは、この世に生まれてきてくれる――。ひとつの命の誕生という奇跡をのせて、天体は回転しつづける。人生最大の一日を克明に描きだす、胸をゆすぶられる「出産小説」。
出産前に読んでおきたくて、予定日まであと17日というところで読了。
いしいさんの作品で現代が舞台のものは初めて読むから、どんな感じなのかなぁと思ったけど。くるくると情景が変わっていって、やっぱり不思議な感じ。
陣痛〜出産シーンは壮絶…。〝お腹の中の小さな「いきもの」〟目線がとても良かった。
バースプランは泣いた。
2020.7再読
こないだ読んだ「京都ごはん日記」のすぐ後の出来事。
いしいさんと園子さんの赤ちゃんのお話。
前に読んだ時は出産前だったけど、出産後のいま読むと陣痛の描写にうんうん頷いていた。
『だんだん人間でなくなっている、見まもる慎二はおもい、いっぽう園子には、そんなことはもうとうにわかっていた。』
『気絶できればまだ楽なのに、からだは燃える筒のように覚醒し、痛みとまぶしさのあまり目をつむることもできない。』
お腹の中の「いきもの」の目線。
『あらゆるものと一体だった自分が、いまはもう、すべてから切り離され、そうして、その切り離されてしまったものの影武者ばかりが、まわりにどさどさ無秩序に転がっている。』
確かにそう考えると、いきなり外に出され今まで一緒にいた紐やぶよぶよと離れて心細いし泣きたくもなるよね。
妊娠出産は神秘。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年11月5日
- 読了日 : 2014年11月5日
- 本棚登録日 : 2020年7月24日
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