一昨年に出た傑作選が好評だったようで、伊藤典夫翻訳SF傑作選2冊目が刊行されました。今回のメインテーマは「宇宙」。といっても、宇宙人との接触だけではなく、より幅広く「宇宙」を捉えた良作が収録されています。作家名を並べるだけでも綺羅星の如くですよ、ラインスター、ウィンダム、ブリッシュ、ホセ・ファーマー・・・古典SFのとっかかりとしては、これ以上ない贅沢なラインナップです。
・・・が、うーん・・・古い・・・。
各作品で描かれているテーマ、そして問題意識は、今でも全く古びていません。十分通用します。が、古さを感じてしまうのはたぶん登場人物の行動規範やものの考え方といったところが原因かな、と鴨なりに感じています。特に、女性の描き方、異文化の描き方、要するにマイノリティの描き方にどうしてもその時代の価値観が染み出してしまっている印象。良いとか悪いとかのレベルではなく、「あー時代だなぁ・・・」としみじみします。
それを理解した上で読む分には、まったくもって良い作品集だと思います。
帯にある「SF基礎力養成講座」は言い得て妙ながら、真にSF初心者向けかというとちょっと違うかなーと。一方、今読んでも古びていない50〜60年代のSFも確かに存在するわけで、SFというジャンルの肩幅の広さを実感しますね。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
SF(海外・短編)
- 感想投稿日 : 2019年7月2日
- 読了日 : 2019年6月24日
- 本棚登録日 : 2019年5月23日
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