「結局、時計をあともどりさせることはできませんものね。架空のことをいつまでも考えつづけるわけにはいきません。」p343
スティーブンスは現在の主人から暇を出され、以前いたミス・ケントン(現在 ミセス・ベン)に会いに行きます。その道すがらダーリントン・ホールで開催された重要な外交会議や「理想の執事」に近づくべく仕事をしていた過去に思いをはせます。スティーブンスの胸に去来するものは一体なんでしょうか。
ブッカー賞授賞作。主人に忠実であること=品格ある執事。と思い仕事を遂行していたスティーブンス。しかし、自分が思い付かない事が起こるのが人生の面白みであり哀しみです。その変化にスティーブンスは戸惑い、旅の最中に出会う人々と話すことで「自分の価値観」や「自分が当たり前」がそうではない事に気づくのではないでしょうか。ミス・ケントンと会った後にくる哀しみを和らげてくれたのは、たまたま会った初老の男性のひと言です。哀しくても後悔しても過去は変わりません。「これから何をしていくのか。」変えられるのは自分だけだと思いました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
9 文学
- 感想投稿日 : 2018年1月15日
- 読了日 : 2018年1月15日
- 本棚登録日 : 2018年1月15日
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