乙女の密告

著者 :
  • 新潮社 (2010年7月1日発売)
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本棚登録 : 1619
感想 : 369

2010年芥川賞受賞作。
赤染さんはかなり露悪的で、ひとが悪くて、でも実は繊細なひとなんじゃないかとおもった。「乙女」って言葉がこれでもかと出てきて、美文とは到底言えないにも関わらず読ませてしまうリズム感、ドライブ感といい、さらっと見せているけれど確信犯的に書いているんじゃないかな。アンネをそんな風に使っていいのか、みたいな、単純だけどごもっともな怒りを感じるひとは多いだろうし、ふざけてるのか切実なのか正直これだけだと判断しきれない。でも、純粋に現代文学はこんな風に多様なんだ、豊かなんだ、ってわくわくさせられた。わたしがわたしであること、ことばを持つこと、そんな普遍的にして重要な問いかけをこんな風に表現するひとがあっただろうか。おもしろい。今後もぜひ追いかけていきたい作家さんだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年9月10日
読了日 : 2013年9月10日
本棚登録日 : 2013年9月10日

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