哲学的にはわたしには測りかねるものがあるが、文芸批評史的には柄谷という「父」の思考枠組みに対して根本的修正を迫るという意味で世代交代の端緒も感じさせる重要な一冊。
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2017.1.7 追記
ここ数日繰り返し読んでいた本。はっきり言って以前のわたしには何も理解できていなかったとおもう。最近読み返して気づいたのは、「政治」の意味が70〜90年代で変容したことが刻み込まれているということ。あと明晰にわかりやすく書かれているようにみえて、二つの概念を出してきてそれをはっきり定義しながらその区別しがたさへと移る、というパターンの論述が基本で、しかもそれを別の言葉で言い換えてまた新しい議論へと流れ込む、というパターンでずっと書かれており、文体の明晰さに比して要約はしづらい。どれほど文体が異なっていてもこのひとはデリディアンなんだ、と心からおもった。
いま関心があるのは本書の最終章を文体論として読み直す可能性。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年4月1日
- 読了日 : 2014年3月30日
- 本棚登録日 : 2014年3月26日
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