繰り返し観たくなる、これぞ日本のスローライフのバイブル。
橋本愛ちゃん演じるいち子が、よくある可愛らしい山ガールじゃなくて、おじさんみたいにタオルを首に巻いたマジな作業服来て厳しい自然と対峙してるし、可愛がってた合鴨を殺して自ら捌いて美味しく頂くといった本当の「生きること」を描いていて、その姿が実に美しい。
フランスやイタリアのカラッとした田舎の風景と違って、重たい湿気と、うだるような夏の暑さなど、憧れだけじゃ過ごすことができない日本の夏がありのままに描かれて大変だからスローライフというよりハードライフ。
でもきっと盆地にある小森で採れるお米やお野菜はきっと甘いだろうし、夏のミズとろろと冷やしたトマトとか、そして秋に山で採れる栗や岩魚、畑でその日に収穫する青菜たちなども都会に住む私にはどれも高級品だった。
他人が殺したものを、殺し方も見たことなくてただ贅沢に享受している都会に住む私には、
「何にも作ったことないくせになんでも知ってるつもりで、他人が作ったものを右から左へ移してるやつほど威張ってる。」
といったユウタ太の言葉が突き刺さって恥ずかしくなった。
私たちは携帯やテレビが当たり前のようにあるから、色んな情報が仕入れられる時代だからこそ知ったような気になっている。
「言葉は当てにならないけれど、私が感じたことなら信じられる。」といち子が母との生活の思い出とを交差させながら、少しずつ、丁寧に感じながら生きているのが伝わる、清らかで、優しい映画。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2017年8月31日
- 読了日 : 2017年8月31日
- 本棚登録日 : 2017年8月31日
みんなの感想をみる