『フリアとシナリオライター』は今のところ<笑った小説マイベスト3>に入る。とにかく笑った。
この作品はバルガス=リョサの半自伝的な小説。
大学生でラジオ局にも勤める小説家志望の僕(マリオちゃん)と義理の叔母フリアとの恋物語と、ボリビアから来た天才(?)シナリオライターであるペドロ・カマーチョが書くラジオ劇が交互に語られる作品。
通俗性を否定する小説家志望の僕と、通俗性全開の物語を書くシナリオライターの双方の中に、バルガス=リョサの作家や文学に対する考えが垣間見えるようでまず面白い。
また、僕(マリオちゃん)とフリア叔母さんをはじめ、書くことに生活の全てを捧げるペドロ・カマーチョや親友のハビエル、<大惨事が三度の飯より大好きな>部下のパスクアルなど登場人物が個性あふれる面々ばかりでこれまた面白い。
でも一番笑うのは、途中からシナリオライターのペドロ・カマーチョが精神に変調を来たし、それに合わせてラジオが混信したように錯綜していくラジオ劇で、不謹慎ながらも最高に面白く腹を抱えて笑った。
こんな笑える小説も書いているとは…恐るべしバルガス=リョサ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
M.バルガス=リョサ
- 感想投稿日 : 2014年6月27日
- 読了日 : 2014年6月27日
- 本棚登録日 : 2014年6月27日
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