まず教育論から変えよう: 5つの論争にみる、教育語りの落とし穴

  • 太郎次郎社エディタス (2015年5月25日発売)
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感想 : 3

以前から、経済(単に景気ではなく)と教育については、世間の誰もが(芸能ネタをそうするように)ご高説をダラダラ垂れ流す(または、そうしてもよいのだという)風潮がありました――。 そんな私たちに「口ばっかり動かしてどうすんの?」と問いかけ、これまでの言説を整理する本。


【版元】
『まず教育論から変えよう ――5つの論争にみる、教育語りの落とし穴』
著者  児美川孝一郎
発行 2015年05月発行
判型 四六判・並製
頁数 272ページ
価格 本体2000円+税
ISBN ISBN978-4-8118-0781-2
Cコード C0037

世の中の多くの人が、教育に関心や意見をもっている現代の日本。居酒屋談義から、ネット上でのTwitterやSNSにブログまで、テレビをつければ、バラエティから、政治家による討論まで、関心の高いトピックとして、だれもが評論家のように教育を語っている。それはこの国の教育や学校にとって、はたして幸福なことだろうか?
議論をすればたちまちのうちの百花繚乱の意見が噴出。それをなんとか整理して、対立する意見の折り合いをつけ、調整しようとしても、結局は調停不能に陥ってしまう。そして気がつくと、合意形成されることはないまま、一つの教育政策や方針がただ押し通される。
なぜそうなってしまうのか。それは百家争鳴の教育論争に、「落とし穴」が潜んでいるからである──。

現在進行形の5つの論争を通して、誰もが陥りうる「落とし穴」・”教育語り”の存在と、“教育語り”がもたらす実際の教育への影響を明らかにし、教育を語るための”教育語り”から、教育を変えるための”教育論”へ転換するための方法を提示する。
http://www.tarojiro.co.jp/product/5322/


【目次】
序章 教育語り、この「神々の争い」
1◎教育の語られ方、五つのパターン
2◎この本で僕が書いてみたいこと

第1章 腫れ物としての道徳教育
1◎戦後の道徳教育の変遷――道徳の時間から『心のノート』まで
2◎愛国心や徳目を国家が教えられるか
3◎子どもの規範意識は低下しているのか――少年犯罪といじめ
4◎第三のアクターとしての「大衆的気分」――よりましな道徳教育へ

第2章 ゆとり教育か、学力向上か?
1◎戦後の学力政策史をたどって
2◎学力格差を是認した「新しい学力観」
3◎子どもの「学力低下」の背景にあったもの
4◎学力政策の振り子を超えて

第3章 タブーとしてのエリート教育
1◎リーダーを育てるのが「エリート教育」
2◎エリートの劣化と、選抜システムへの危機
3◎エリート養成を論じるために

第4章 キャリア教育になにが期待できるか
1◎学校にキャリア教育がやって来た
2◎企業に尽くすための「適応型」キャリア教育
3◎「夢追い型」キャリア教育の危うさ
4◎自立した「大人」になるための教育

第5章 だれのための大学改革なのか?
1◎少子化で様変わりする大学
2◎文科省の巧みな誘導とメディアの視線
3◎変貌する大学――現場からの“言い分”
4◎あらためて「なんのため」から「だれのため」へ

終章 子どもを「理想」の犠牲者にしないために

あとがき

読書状況:読みたい 公開設定:公開
カテゴリ: 370.教育
感想投稿日 : 2018年4月9日
本棚登録日 : 2018年4月9日

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