透祜と鷹野という二人に焦点を当てながら、サイドストーリーとしての青比古と桂と那智の三角関係などを展開していくうまさに、舌を巻きっぱなしで読み進めた。
透祜は成長するにつれて、幼さから強さと共にエロスを発していく。こういうあたりをきちんと絵に乗せて表現できるあたりに、ひたすら水樹の画力の高さを感じた。鷹野と病の娘のキスシーンを目撃した透祜の「ずっと鷹野が好きだったの」はド直球少女漫画だが、ずばっと決めてきたのにも痺れた。
しかもこの巻の途中では妖祜という一卵性双子が登場したと思ったら、いきなりメインキャラの透祜を殺してしまうという衝撃の展開。半狂乱になった鷹野は、追ってきた妖祜を殺しかけるが、妖祜の中に、彼女と一体化した透祜を発見し、抱きしめる。この場面で首を絞められ、死を覚悟した妖祜の表情が実にエロい。
血のつながっていない兄と妹の恋、双子が互いに惹かれあう神秘性みたいなものをテーマにした漫画は、この時期沢山描かれていたように思う。そういう漫画あるあるを全部盛りにしながら、物語は物語で骨太に進んでいくのだから、大したものである。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2022年2月28日
- 読了日 : 2022年2月28日
- 本棚登録日 : 2022年2月28日
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