自宅本。再読。108個の時計がある洋館で、オカルト雑誌の編集者と大学のオカルトサークルを連れて、霊媒師が降霊術会を企画すると、連続殺人が起こる。
十角館や迷路館のクラシックなクローズドサークルミステリの良さ、水車館の幻想的なストーリーの良いところが出ている。昔読んだときは、超傑作(いや間違いなく傑作なんだけど、、、)と思ったが、今読むと魅力的な大トリックの効果は終盤のアリバイ崩しだけなんで、もう少し上手く演出できたら面白いのにな、、、と思ってしまう。
館シリーズのジレンマとして、隠された秘密通路が重要なファクターなので、館側の人間しか犯人役が務まらないのだが、それを補って余りある驚天動地の大仕掛けがあるので、初読の方は羨ましい。
大仕掛けといえば、世界最長推理小説の二階堂黎人さんの「人狼城の恐怖」も衝撃度は似た感じ。また、本作のオカルト的な死の預言に対して抗おうとするというモチーフは、今村昌弘さんの「魔眼の匣の殺人」でも出てくる。作者が時計館を読んでないとは思えないが、まったく違うアプローチで面白いミステリになっている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
推理小説
- 感想投稿日 : 2020年5月14日
- 読了日 : 2020年5月14日
- 本棚登録日 : 2020年5月14日
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