11月15日に発売されたばかりの新著です。首都大学東京の渡邉英徳先生の『データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方』。図書館が所蔵する「資料」は従来の紙媒体にとどまらず、ライブラリアンは電子媒体やデータにも明るくないといけません。仕事のための勉強のつもりで読みました。
「オープンデータ」や「ビッグデータ」は社会にどのように貢献できるかを、渡邉先生ご自身の実践に基いて解説することが本書の趣旨だったかと思います。渡邉先生は学生さんらと一緒に「ナガサキアーカイブ」「ヒロシマアーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」などを構築しました。グーグルアースに被爆者/被災者の声や被災当時の写真をマッピングし、世界中の人々の視覚に訴えて、被災の「実相」を想像しやすくしたものです。国内外から高い評価を得ています。
私はこれらアーカイブズの制作過程に、一面的には語れない過去と現在を広く長く伝えていこうという情熱を強く感じました。それは独りよがりの試みではなく、常に見る側に立ってどう見えるかを意識した制作活動でした。コンテンツ作成に携わった人々が、世代や立場のちがいを超えて他の人々とつながれていく過程にも非常に感動しました。「データ」が人と社会につながれていく様相がよく伝わってきました。
渡邉先生をはじめこの「作品」制作に携わった人々の、同じゴールを共有し、人との関係を紡ぎながら世界に発信しようとする経験はとても貴重なもので、うらやましくも感じました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年11月29日
- 読了日 : 2013年11月29日
- 本棚登録日 : 2013年11月29日
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