ブータン、これでいいのだ

著者 :
  • 新潮社 (2012年2月1日発売)
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ブータンで暮らした1年間の体験をもとに、ブータンの国やそこで暮らす人々について考察した本。
実際の体験談だけでなく、一般論だけでもなく、両方が結びついて書かれているので、読んでいて面白いし、説得力がある。
「8章 お金の話」にて、ブータンが現在バブルであることについて書かれている。現状を、資本主義経済に毒されたと嘆いて終わりにするのではない。根底にはブータン人の、快楽主義、刹那主義の哲学があり、資本主義により突然広がった選択肢に対するブータン人らしい反応である、と考察している。さらに、このバブルに対応するための、筆者なりの提案までなされている。
今起きている現象だけでなく、その背後にある経緯までも、筋道だって語っている。筆者は、自分の目でしっかり見て、自分の耳でしっかり聞いたことを、自分の頭でしっかり考えられる人なのだろう、とわかる。そんな女性を目指したいと、憧れる。読んでよかった。

ブータン流の幸福術は、そのまま日本社会に適用すると、不適応をおこしそうだが、柔軟に取捨選択できるといいかもしれない。まだ私の頭の中で、整理がついていないが、印象に残ったのは以下。
組織モデルとしてのブータンの特徴、1、GNHという、国を運営する上での独自のビジョンを明確に持っている2、グローバルに視野を広げながらも自国の文化を深く理解し国の舵取りができる、驚くほど優秀なリーダーたちがいる 3、国民一人ひとりの「幸せ力」が強い 4、国全体がコミュニティ。
個人の幸せについては、
○幸せゾーンを広くとる(家族・友人、来世)
→来世は信じてないので、ノーコメント笑。家族、友人の幸せが自分の幸せという視野は、広い…
○幸せになりたかったら、自分の幸せを探すのではなく、周囲の人の幸せを探すべき。
→例えば親の望む進路と、自分の望む進路が異なったとき、自分を押し通すのはわがままなのか?選択した先で、多くの人を幸せにできればいいのか?抽象的な多くの人より、身近の親などを大切にするべきか?
○自分の力の及ばない範囲は、「仕方ない」と受け入れる。
→ブータンの人はさすがにやりすぎだと思うけど笑、範囲をうまく設定できれば、日本社会でも適用可能かも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年4月22日
読了日 : 2012年4月22日
本棚登録日 : 2012年4月22日

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