いわゆるマルチバースについてのポピュラー・サイエンス本の「パラレル・ワールド」がとても面白くて、大ファンになったミチオ・カクの新作。
「パラレルワールド」後の本は、科学技術関係とか、超ひも理論という自分の専門領域以外についての啓発的な科学ライターみたいな本が多かった気がするけど、これはまた専門領域のど真ん中にもどっての入門書ですね。
「超ひも理論」の最近の議論もざっくりと整理してあって便利ですが、この本のメインは、「統一理論」の歴史。ニュートン〜マックスウェル〜アインシュタイン〜量子力学〜ヒモ理論という一つの理論ですべてを記述しようという試みの歴史。
なんで、いろいろな現象を説明する複数の方程式を一つの方程式で全部を表現したいのか、そこには、統合することで見えないことが見えてくるということがあるということ。
そして、あらたな統合は、新たな科学技術を生み出していく力になったということ。
そして、統合のポイントは、対称性、ということなのだが。。。。
ここまでくると、この話しは、宇宙の始まりや終わり、そして神の存在、宇宙、そして自分の存在する意味ということに必然的につながっていく。
で、最終章は、そんな話。ものすごく新しい話しはないのだが、あらためてこれだけのことをまとめてくれて、ありがたいな〜という感じ。
面白かったのは、これまでの統一理論の成立は人間の生活に直接影響をあたえる技術を生み出してきたが、おそらくひも理論の統合は、なにもわたしたちの実生活には影響を与えないであろうという話し。
おおおお、そこまで言い切るか!
つまり、今、理論物理学は、ある意味、人間がこれまで宗教や思想を通して探索してきた宇宙や人生の意味を科学的な方法で探求しているということなんだね。
そして、その答えがでたとしても、わたしたちの人生の意味がわかるというものでもなくて、結局、それはわたしたち、一人一人が自分で苦労して見つけ出すものなのだ。
なるほど。答えは実は既にあるのだ。
- 感想投稿日 : 2022年8月11日
- 読了日 : 2022年8月11日
- 本棚登録日 : 2022年8月11日
みんなの感想をみる