わけあって、経営学の大古典「現代の経営」を読むハメに。
変化の早い経営の世界で、1954年に書かれた本を読むのは、あまり気が進まないし、「現代の経営」といえば、「目標管理」を提唱した本。「管理」の好きでない私が、気乗りしないのは、分かっていただけるだろうか。
が、読んでみてびっくり、ここには全く古びれない経営が述べられているのだ。このなかには、ステークホルダー経営もCSR経営もバランス・スコア・カードもあるし、社員のモチベーション向上や計画を実践に移すための社員のプランニングへの参画もある。全く恐るべき本である。ちなみに「目標管理」もそれぞれが自発性をもって取り組むべきもので、いわゆる「管理」ではないのだ。
というわけで、経営学の本を1冊だけ読むとしたら、「現代の経営」という話は嘘ではなかった(翻訳では2冊に分かれているけど)
それでも、評価が最高の星5つではないのは、
・事例等が古くてピンとこない、
・冷戦期に書かれていて、時代背景の文脈を読み取ることが必要、
・記述が哲学的、社会学的すぎて、実務的にはやや分かりにくい、
・「べき論」としては分かるけど、それをどうしたら実現できる、分かりにくい、など
今日の読者にとっての読みやすさという面から。
あと、ドラッカーって、やっぱりウェーバーとかシュンペーターにつながるドイツ人だなと思った。個人的には、英米的な実証主義的な経営学の本を中心に読んでいるので、その辺の読みにくさも1点減点には影響しているかな。
つまり、内容としては、当然の星5つということ。
ちなみに、原題は、the practice of managementで、「現代」という意味はない。経営とは、理論ではなく、実践されるべきものなのだ。
- 感想投稿日 : 2017年4月30日
- 読了日 : 2007年9月11日
- 本棚登録日 : 2017年4月30日
みんなの感想をみる