痴人の愛 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1947年11月12日発売)
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感想 : 1006
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近代文学を読もう16。
再び谷崎潤一郎、ついに読んでしまったよー。
身も心も、そして金も(←)全てを捧げ尽くす、谷崎のマゾヒズム炸裂の『痴人の愛』。

オーディブルにて読了。平川正三さんのナレーション、ナオミの婀娜な魅力が十分に伝わりました。

女性経験がなく、「君子」とあだ名がつくくらい真面目なサラリーマンである28歳独身の河合譲治は、浅草のカフェーで出会った15歳の美少女ナオミを見初め、自分が教育と作法を身につけさせ、夫婦になろうと思って彼女を引き取り、一緒に住むようになる。
 
ナオミ16歳のときに二人は入籍。しかしナオミをレディーに仕立てようという彼の期待は、次第に裏切られていく。ナオミは怠惰で行儀が悪く、言葉遣いも男のようで、浪費家で飽きっぽい。ナオミの散財で、金銭的な余裕はなくなっていった。
しかしナオミは次第に女としての魅力を開花させていき、譲治はナオミに抗うことができなくなる。
ある日、彼が早く家に帰ってみると、玄関の前でナオミが若い男と立ち話をしていた。ナオミはお友達だと否定する。
しかしまもなく、ナオミが他にも何人もの男と深い仲になり、卑猥なあだ名までつけられていることを知り、一切の付き合いを禁じる。しかしナオミがおとなしくなったのは表面だけで、また男と密会していることを知り、ついにはナオミを追い出す。

追い出したものの、譲治はナオミが恋しくて仕方がない。反対にナオミは、知り合いの男性の家に泊まり、豪華な衣装で遊び歩いて楽しく暮らしているようで、自分への未練などなさそうだ。
もう忘れようと決意していた譲治のもとへ、ナオミがふらっと現れるようになり、肉体的な魅力をふりまいて翻弄する。ナオミは自分の魅力を十分に知って、譲治が自ら陥落するのを待っていて…。
譲治は全面的に降伏し、すべてをナオミに捧げると違う。

う、うん、すげー話でした。ここまで恋焦がれてしまうナオミの魅力。惚れたもん勝ちと言うけど、その一番沼の深いバージョンでしょうか…。大正時代に書かれたというが、現代でも読んでギクっとする人は多いのではないでしょうか?笑
あざとい女って女からは嫌われるけれど、男の人は、自分の気をひこうとするそのあざとさが可愛いって思うものらしいよね。ナオミまでいくと、さすがに可愛いとか言ってられないけれど。

翻弄されて身悶えしながらも恍惚としている譲治。彼なりに幸せな人生だったといえるのでしょう…(でも金の切れ目が縁の切れ目になってないか心配だな)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 近代文学
感想投稿日 : 2024年3月7日
読了日 : 2024年3月7日
本棚登録日 : 2024年3月7日

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