遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • 角川学芸出版 (2004年5月26日発売)
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本棚登録 : 1984
感想 : 120
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20年近くに前に友人からもらった本。
(私があげた、ルナールの博物誌のお礼に、と言っていた気がする)
少し読んで、へえ、と思い、そのまま時間が経ってしまった。
今回、ふと思い立って再チャレンジ。
年末から少しずつ読んでいたので、3ヶ月くらい掛かったかもしれない。
一編ごとに、ごく短い文で簡潔に纏められている。

昭和初期のものだから、内容はおもに、明治大正、まれに江戸の話もある。
伝わる風習、動物の不思議なエピソード、寺社仏閣、霊体験、身分制度、山にあるもの、人間など、あらゆる物語が記録されている。

本書には、遠野物語および、遠野物語拾遺が収録されている。
内容にも驚くべきことが多いが、何より、その分量に圧倒された。
その昔、みんなが口々に伝え合ってきたことを、佐々木氏を通して、「書き留める」ことは非常に重要だったんだなあとわかる。
すごい仕事量だ。

作者の経歴をみると、80代になってもなお、精力的に講演や執筆、後進の育成、と活動を続けているので恐れ入る。
この時代の80代なんて、今の100歳くらいの感覚では?

読んでいて気に入ったのは、天狗と仲良くなる話、子供や祭りが好きで賑やかな場面には乱入したがる仏像の話など。
あとは拾遺の最後のほうのエピソードで、兵役や旅行で遠くにいった家族の動向を占う術があったことも、電話もテレビもない時代の情を思って身に沁みた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月22日
読了日 : 2022年3月22日
本棚登録日 : 2022年3月22日

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