20年近くに前に友人からもらった本。
(私があげた、ルナールの博物誌のお礼に、と言っていた気がする)
少し読んで、へえ、と思い、そのまま時間が経ってしまった。
今回、ふと思い立って再チャレンジ。
年末から少しずつ読んでいたので、3ヶ月くらい掛かったかもしれない。
一編ごとに、ごく短い文で簡潔に纏められている。
昭和初期のものだから、内容はおもに、明治大正、まれに江戸の話もある。
伝わる風習、動物の不思議なエピソード、寺社仏閣、霊体験、身分制度、山にあるもの、人間など、あらゆる物語が記録されている。
本書には、遠野物語および、遠野物語拾遺が収録されている。
内容にも驚くべきことが多いが、何より、その分量に圧倒された。
その昔、みんなが口々に伝え合ってきたことを、佐々木氏を通して、「書き留める」ことは非常に重要だったんだなあとわかる。
すごい仕事量だ。
作者の経歴をみると、80代になってもなお、精力的に講演や執筆、後進の育成、と活動を続けているので恐れ入る。
この時代の80代なんて、今の100歳くらいの感覚では?
読んでいて気に入ったのは、天狗と仲良くなる話、子供や祭りが好きで賑やかな場面には乱入したがる仏像の話など。
あとは拾遺の最後のほうのエピソードで、兵役や旅行で遠くにいった家族の動向を占う術があったことも、電話もテレビもない時代の情を思って身に沁みた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年3月22日
- 読了日 : 2022年3月22日
- 本棚登録日 : 2022年3月22日
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