古川日出男の長編小説『ゴッドスター』の続編だが、前作の存在を知らずに手にとってしまった。恐らく前作を読了してからの方が楽しめる作品だと思う。
東京錦糸町に暮らすホームレス「メージ」を養父と仰ぎ、外国人斡旋業を営む女を「ママ」と呼ぶ、イケメン青年である「ぼく」が主人公。
老いた愛犬「博文」と共に養父の散骨に西へ向かい、京都にて飲食店のアルバイト、写真モデル、男娼をしているうちに、宗教団体にスカウトされて独自の地位を築き上げていくというストーリー。
何事も冷静に客観視してみせる主人公の一人称視点で語られるが、特に物語の起伏がある訳でもなく、彼が感じたこと考えたことを延々と書き連ねていく体裁。単純明快に楽しめるエンタメ小説でもなく、美しい文章を堪能出来る純文学でもない。強いて言えば、厨二病を煩った青年が手慰みに綴った日記帳。
第一部、第二部、第三部とどんどんつまらなくなっていき、最終的には一体何を言いたいのかもようわからぬ消化不良感に苛まれる。特に東日本大震災の後に執筆されたという第三部がひどいと思う。
東京や京都のアンダーグラウンドを中心に描いた第一部&第二部と、宗教団体の中で教祖の家族との生活を描いた第三部の間には、埋めがたいほどのストーリーの断裂が起きている。作者は大震災で自身が感じた事柄を、執筆途中であった作品にいきなりぶちこんできたのではあるまいか。第三部からはまったく無関係の作品へといきなり吹っ飛ばされたかのようだった。
私には何も読み取れなかった作品。再読にも挑戦しないと思う。古川日出男はちょっと当たり外れが激しいな、と思わされた。
- 感想投稿日 : 2016年11月15日
- 読了日 : 2016年11月12日
- 本棚登録日 : 2016年11月12日
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