高校のころに初めて読んでからなぜか数年おきに繰り返し読んでいるけど、この本を読むたびに小説を読むという体験そのものの不思議さみたいなものをすごく意識させられる気がする。
この本を読んでいると、小説を読むという体験は本質的には小説を読んでいる時間にしかなくて、ストーリーや登場人物やテーマは、ある意味では本を読むという時間を構成するひとつの要素に過ぎないのかもしれないということを、つらつらと考えてしまう。ものごとの本質というものをあえて考えるのであれば、小説の本質は小説を読んでいる最中の読者の中で流れる時間そのもので、そういう意味では小説もある種の時間芸術なのかもしれないとかなんとか。僕はプレーンソングを読むたびに、頭の中ではそんなような小説の欄外の、全く別のことを考えているように思う。
そういうような思いを持ってこの本を読んでいるものだから、僕にとってこの本をひとつの小説というより、ある種の処方箋みたいな認識になっていて、つまりそれは単にとても好きな本ということなんだど、とにかく何度も読んでいるしお風呂で読んだりしたものだからページもくたくたになっているし、折を見て新しいのを買おう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年2月16日
- 読了日 : 2022年2月14日
- 本棚登録日 : 2022年1月30日
みんなの感想をみる