彼の本を読んでいつも思うことは、「消えゆくものに対する慈しみ」に満ちているということです。私が彼の著書に惹かれる一番の理由もそこにあるように感じます。
アラスカの大自然とそこに生きる人々、その大地と人間が背負ってきた歴史(=物語)に寄り添って、それを記録(自分の言葉と写真)にとどめること、それが彼のライフワークでしたが、この「森と氷河と鯨」が彼の最後の作品となりました。
カムチャッカで野営中クマに襲われたことは、当時新聞で読んで知っていましたが、それはワタリガラスの伝説(=アラスカに生きる人々のルーツ)を求めてアラスカからシベリアに渡った旅の途上だったことをこの本で知りました。彼の人生そのものがアラスカをめぐる物語のひとつだったように感じてしまいます。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年8月21日
- 読了日 : 2014年8月11日
- 本棚登録日 : 2014年8月11日
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