鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2000年3月17日発売)
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本棚登録 : 5632
感想 : 469
3

面白かった
第117回直木賞受賞作品
「あなたに起こる やさしい奇蹟」
をモチーフとした8編からなる短編集

「鉄道員」
映画にもなった物語
ぽっぽやとして職務に忠実だった高倉健じゃなくて鉄道員がその死を迎える最後の夜に出会った、死んだ娘。その娘は小学生の姿で、そして高校生の姿で現れ、話をします。
死んだ娘と気が付いた後の会話があたたかい
これは、好きな物語

「ラブ・レター」
起訴猶予で釈放されたどうしようもない男と偽装結婚していた女が死亡。その女の葬式、遺骨を引き取るに行った男は、その女からのラブレターを受け取ります。
その文面がとてもあたたかく、やさしい。
男の心を溶かしていきます。
これも好きな物語

「悪魔」
裕福な男の子の家に派遣された家庭教師。
その家庭教師がきてから、その家はいろいろな不幸が..
結局は..ということなのですが、この物語は好きではありません。

「角筈にて」
プロジェクトの失敗の責任を取らされて、海外へ左遷される会社員。
壮行会の夜、角筈で見かけた父親。そこから思い出される過去。自分を捨てた父親の想いを受け取ります。
これも暖かい
これは好きな物語

「伽羅」
伽羅というブティックに服を卸売りする営業員の物語。
その女主人はとても美しい
ブラックな展開で、割と好き

「うらぼんえ」
幼いころ、父母を亡くし、祖父母に育てられたちえ子は夫の祖父の初盆のため、夫の田舎へ帰郷。しかしそこでは、夫の親族たちがちえ子に離婚を迫ります。
そこへ、死んだはずのちえ子の祖父が現れちえ子を助けようとします。
この想いに心打たれます。

「ろくでなしのサンタ」
起訴猶予で釈放された三太が送ったクリスマスプレゼントの物語

「オリヲン座からの招待状」
関係が終わっている夫婦の物語。あまり印象に残りませんでした(笑)

ということで、「鉄道員」「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」の4作はとても好きな物語でした。

お勧め

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2020年6月20日
読了日 : 2020年6月20日
本棚登録日 : 2020年6月20日

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