「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

  • ダイヤモンド社 (2017年2月17日発売)
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「因果推論」の入門の入門
普段混同しがちな「因果関係」と「相関関係」をわかりやすく解説してくれています。
「学力の経済学」からテーマを医療まで広げて、具体的な因果関係の証明方法について様々な手法を紹介しています。

因果関係を確認する3つのポイントとして
(1)まったくの偶然ではないか
(2)第3の変数は存在していないか
(3)逆の因果関係は存在していないか
としていて、その3つが存在しない証明として、反事実と比較する事としています。

本書では
ランダム化比較試験
自然実験
差の差分析
操作変数法
回帰不連続デザイン
マッチング法
回帰分析
といった手法を使って、さまざまな因果関係を解説しています。

んで、
ランダム化比較試験を用いた分析の結果、
メタボ検診を受けても長生きにはつながらない
自己負担割合を高くしても貧困層以外の健康状態は変わらない

自然実験を用いた分析の結果
女性医師が担当すると患者の死亡率が低くなる
出生時体重が重い赤ちゃんは健康状態が良い

差の差分析を用いた分析の結果
認可保育園を増やしても母親の就業率は上がらない
最低賃金を上げても雇用は減らない

操作変数法を用いた分析の結果
テレビを見ると偏差値が上がる
母親が大卒だと生まれてくる子供の健康状態がよい

回帰不連続デザインを用いた分析の結果
学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない
高齢者の医療費の自己負担割合が増えても死亡率は変わらない

マッチング法を用いた分析の結果
偏差値の高い大学に行っても収入は上がらない

といった驚きの結果を導き出しています。

「メタボ検診を受けても長生きにはつながらない」って、意味ないじゃーん!
「認可保育園を増やしても母親の就業率は上がらない」って本当かよって思います。

一方で、
「テレビを見ると偏差値が上がる」
については、実験結果が1940年から1950年の子供についてなので、現在の子供にそのまま適応は出来ないと思います。

また、教育ネタでは
「学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない」
「偏差値の高い大学に行っても収入は上がらない」
についてはその通りだよなって思います。

さて、このような分析結果だからどうだという事ではなく、本書の目的は、「根拠のない通説」に騙されないという事。
因果関係と相関関係の違いを理解して、本当に因果関係があるのかをちゃんと考える様にする事が大事と思います。

お勧め!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2018年1月13日
読了日 : 2018年1月13日
本棚登録日 : 2018年1月13日

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