SHOE DOG(シュードッグ)

  • 東洋経済新報社 (2017年10月27日発売)
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フィルナイト、オニツカタイガーのアメリカ販売から始まった
米国での販売権を得るために、存在しない会社ブルーリボンスポーツの代表だと、ハッタリをかましながらも、毎年売り上げを倍増させていく。親にお金を借り、銀行にお金を借り、とにかくずっと自転車操業。バランスシートの純資産が0の状態でも、売上拡大を第一として走り続ける。勝つことが全て。
最初は利益が出ないため、自分は公認会計士として働く。米国での独占販売を邪魔するライバルも現れる。フィルはオニツカ社内に味方(スパイ)を置く、社員の訴えを無視する、資料を盗み見るなど、人格者かと言うとそうでもない点が、感情移入しづらい。
一方でオニツカのやり方も誉められたものではなく、納期遅延、販売権争いなど、最終的には法廷闘争になる。オニツカはナイキを切り、ナイキは自社ブランドを立ち上げて生き延びることを選択する。オニツカからの独立宣言。
その後もナイキには資金繰りがずっと付きまとう。銀行に見限られ、売上はあってもキャッシュが足らず、不渡で倒産危機を迎える。日商岩井が助け舟を出してくれる、日商はナイキのことが好きだった、成功すると信じていたから、支払いを遅らせたり、借金を肩代わりしたりした。
シュードッグとは靴好き、靴に全てをかける人。


・馬鹿げたアイデアだと言う連中にはそう言わせておけ、走り続けろ、目標に到達するまで、何があっても立ち止まるな。今がどこなのかも考えず、走り続けろ。

・みんな転職する、どこに行っても同じ。公認会計士とMBAの資格があれば、確固たる収入基盤ができるので、どこに転職しても一定以上の給与レベルが維持できる。

・走ることを信じていた。みんなが毎日数km走れば、もっと世の中はよくなる、このシューズを履けば走りはもっと良くなる、という信念があったからできた。

・競争のコツは忘れること、自分の限界や痛みや苦しみも忘れて、「もう走れない」という自分のうちなる叫びや甘えも忘れる。忘れなければ、それと向き合うことになってしまい、耐えられない。

・自分の息子が働いている会社を信用できなかったら、誰を信用できるっていうの?

・オニツカとの契約は切れたが、これは独立宣言でもある。もう他社のブランドを売らなくていい、誰かのために働かなくてもいい。これからの成功や失敗は私たち自身の責任、自らのアイデアとブランドにかかっている。

・経営者が何をしても、他役員から反発が出ないのは、経営者自身がそんなに報酬をもらっていないことを知っているから。自分達は十分もらっている、と感じてくれている。

・競争に勝つことは比較的簡単なこと、自分に勝つことはゴールラインの無い挑戦。

・金を稼ぐことがビジネスの目的ではない。人が生きるために血液は必要だが、血液を作るために生きている訳では無いのと同じ。より高い次元に到達するために必要なプロセスであり、その先にある使命に向かって奮闘するのが人生。

・天職を追い求めて欲しい。天職であれば、疲労も失意も気にならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経営者の本
感想投稿日 : 2023年12月20日
読了日 : 2023年12月20日
本棚登録日 : 2023年12月20日

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