詩は、感情や感性のもの。
散文は論理を積み重ねていきますが、
そうやって分析することができないものを、
詩人は、詩として表現する。
だから、
読んでみて浮かぶ感想ははっきりした言葉にならず、
大かたは、
「ああっ」
だとか
「はああっ」
だとか、
「そうなんだよ!」
だとかの感嘆や納得の気持ちが多い。
あるいは、詩は自分の内部に埋もれている感覚や感情や記憶を
呼び起こすトリガーになったりもするでしょう。
詩でこそ開いていける、というところがある。
社会に対してだってそうだし、
人間理解だってそうだし、
世の中そのものだって、過去や未来や宇宙にだってそうなんだなと
今回、本書を読んでそう思いました。
繊細だけれど力強くもあり、
まあるくなってそうで、とがってもいる。
体内を流れる血であり、流れ出た血でもある。
何を書いているかはっきりはからないから苦手、という人は多くいそうです。
僕だって、ずっとそうでした。
言葉の遊戯、言葉のパズル、言葉のコラージュなんだろう、
と決めつけたこともあります。
そういった面は、技術としてあるのでしょうが、
詩が発現してくる源に目を凝らしてみると、
また考えが改まります。
本書は、著者・茨木のり子さんの解きほぐし方が、
丁寧だし、いろいろと察してもいるし、
大事に詩を扱っているし、
言葉がわかりやすいしで、
詩にひたる経験がしたい!
という人にはうってつけの本でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
詩集
- 感想投稿日 : 2020年8月9日
- 読了日 : 2020年8月9日
- 本棚登録日 : 2020年8月9日
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